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TSKニュース&トピックス

平成17年11月号

前払賃料方式による定期借地権

今回は、前払賃料方式による定期借地権について、その概要を説明します。

1.定期借地権

定期借地権とは、期間が満了すると契約の更新がなく、必ず借地権が消滅することが法律上補償されている借地権ですが、通常定期借地権の設定時に、その設定の対価として保証金・権利金の授受が行われます。保証金については期間終了時に借地人に返還されることになるため、地主側では預り保証金、借地人側では差入保証金として処理されるため、課税関係は生じません。一方、返還不要とされる権利金については、以下の取扱いがなされてきました。

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2.前払賃料方式による定期借地権

法令の改正ではありませんが、本年1月、国土交通省からの照会に対する国税庁の回答文書により、定期借地権に係る権利金を、一定の契約に基づき賃料の前払いとして一括授受する場合は、借地人、地主それぞれについて、期間に応じた費用化、収益計上を可能とする取扱いの明確化がなされました。

今回の取扱いの明確化で、賃料の前払いとしての一時金については、借地人は前払費用として計上し、その期間の賃料に相当する額を損金または必要経費に算入することとなります。一方、地主側では前受収益として計上し、その期間の賃料に相当する額を益金または収入金額に算入します。これにより、賃料を一括で授受しても、借地人は期間に応じた費用化、地主は期間に応じた収益計上ができることになりました。

なお、この取扱いを受けるためには、借地人と地主が、その一時金が前払賃料であり、それが契約期間にわたって賃料に均等に充当することを定めた定期借地権設定契約書により契約し、契約期間にわたり保管した場合で、その取引の実態もその契約に沿うものであることが必要です。
 

3.前払賃料方式による定期借地権の相続税の財産評価等

定期借地権の評価の際に、一般的に利用される財産評価基本通達27-1のただし書きで定める簡便な方法で評価する場合には、前払賃料の額は「定期借地権等の設定の時における借地権者に帰属する経済的利益の額」に含めて評価します。なお、前払家賃のうち未経過相当額については、借地人にとっては債権となりますが、定期借地権の評価に反映されるため、別途相続財産に計上する必要はありません。

一方、地主にとって前払家賃のうち未経過相当額については債務となりますが、前払賃料が定期借地権の評価に反映されることにより定期借地権の目的となっている宅地の評価額が減額されますので、相続税の課税価格計算上、債務控除の対象とすることはできません。