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TSKニュース&トピックス

平成21年11月号

グループ法人税制について

税理士 村野


1.グループ法人税制とは

財務省、経済産業省及び日本経団連は、グループ法人に対する現行の税制が実態に即しているのか有識者等を交えて検討するため、「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会」を共催し、その論点を公表しております。この論点の内容は、来年度の税制改正の議論のたたき台となることが予想されるため、注目すべきものであると言えます。
論点によれば、昨今のグループ経営の実態として、関連会社を100%子会社化してグループ経営を強化する企業が増加しており、各会社の独立性を生かしながら、グループ統合のメリットを最大限に追求する傾向が顕著となっているとしています。そして、このようなグループ法人の一体的運営が進展している状況を踏まえ、実態に即した課税を実現する観点から、100%株式保有による支配関係を対象として、「グループ法人税制(仮称)」を検討することが適当であるとしています。
その内容としては、①現行の連結納税制度を改善するとともに、②100%株式保有関係の単体納税企業についても、グループの一体性に着目した税制(グループ法人単体課税制度)を新設することとしています。

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2.グループ法人単体課税制度

グループ法人単体課税制度は、100%株式保有関係のグループ法人のうち、連結納税制度を適用しない場合の各法人について適用する税制ですが、以下のような内容が検討されています。

①グループ法人間で資産の譲渡取引が行われた場合に生ずる損益については、その資産のグループ外取引等の時点までその計上を繰り延べる。

②グループ法人間の現物配当についても、譲渡損益の計上を繰り延べる。

③グループ子法人からの受取配当に係る負債利子控除については不要とする。

④グループ内の各法人の資本金等を基準とした中小企業特例(交際費の損金算入限度額や800万円以下の課税所得に対する軽減税率など)の適用の可否については、親法人の資本金等の規模も判定要素とする。
 

3.連結納税制度の改善

連結納税制度は平成14年度に創設されましたが、導入による課税面・実務面の負担が大きく、十分導入が進んでいる状況にありません。そこで、その改善策として、以下のような内容が検討されています。

①連結納税開始時や連結納税グループへの加入時における子法人の単体欠損金の持込制限を緩和する。また、子法人保有資産の時価評価課税についても緩和する。

②連結納税グループ内寄附金について、支出側・受取側のいずれの側においても不算入とする(現行は支出側では損金不算入だが、受取側では益金算入となっている)。

③完全支配関係が生じた場合の子法人の連結納税グループへの加入時期について、翌事業年度期首からの加入とするなどの方向で柔軟化する(現行は完全支配関係を有することとなった時点で仮決算を行い加入する)。

④連結納税制度の適用承認申請期限を短縮する(現行は連結納税制度適用事業年度開始の日の6ヶ月前)。