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TSKニュース&トピックス

平成29年12月号 号外

平成30年度 税制改正大綱

平成29年12月14日に税制改正大綱が公表されました。本号では主要な改正項目について解説いたします。なお、平成30年1月以降の国会における改正法案の審議の過程において、内容の修正が入る可能性もございますのでご留意願います。ご不明点等ございましたら弊社担当者にお問い合わせください。

1.資産税

①事業承継税制

非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予制度について、10年間の時限立法措置として、下記の特例が創設されます。

・発行済株式の3分の2に達するまでが対象株式でしたが、全株式が対象になります。

・相続の場合に納税猶予の対象は税額の80%まででしたが、税額の全額が対象になります。

・雇用要件は5年間平均で8割維持できなかった場合でも、要件を満たせない理由を記載した書類

 (認定経営革新等支援機関の意見が記載されているもの等一定の要件を満たすこと)を提出する

 ことで納税猶予を継続することが可能になります。

・後継者は最大3人まで承継が可能になります。

・経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、譲渡、合併、解散等により納税猶予期限

 が確定した場合の納税金額は、当該事由に該当した時の相続税評価額を基に再計算して、納税金額

 が当初の納税金額を下回る場合には一定の金額が免除されます。

・後継者が贈与者の推定相続人以外の者でも相続時精算課税の適用を受けることが可能になります。

平成3011日から平成391231までの間に贈与等により取得する財産に係る贈与税・相続税について適用されます。

②一般社団法人等に関する相続税・贈与税

・個人から一般社団法人等に財産の贈与等があった場合の租税回避規定が明確化されます。

・特定一般社団法人等の役員(理事)が死亡した場合に、当該一般社団法人等に相続税が課税される

 ことになります。

平成30年4月1日以後の相続税又は贈与税について適用されます。

③小規模宅地等の見直し

・特定居住用宅地等

持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の対象範囲から次の者が除外されます。

 (ア)相続開始前3年以内にその者の3親等以内の親族又はその者と特別関係がある法人が所有する  

    国内にある家屋に居住したことがある者

 (イ)相続開始時に居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

・貸付事業用宅地等

 貸付事業用宅地等の範囲から相続開始前3年以内に貸付事業の用に供されていた宅地等

 (相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っているものが当該貸付事業のように供して

 いるものを除く)が除外されます。

・介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に

 供されていた宅地等について、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたもの

 として、小規模宅地の特例が適用されます。

平成30年4月1日以後の相続について適用されます。

ただし、貸付事業用宅地等の改正は、同日前から貸付事業のように供されている宅地等については、適用されません。

2.所得税

①給与所得控除

給与所得控除について、下記の見直しがされます。

10万円引き下げ

・給与収入が850万円を超える場合には、給与所得控除の上限額が195万円となります(現状は収入1,000万円超で上限220万円)

・850万円を超える場合でも23歳未満の扶養親族等がいる場合等には、負担調整として所得金額調整

 控除が差し引けます。

②公的年金等控除

公的年金等控除について、下記の見直しがされます。

10万円引き下げ

・公的年金等収入が1,000万円を超える場合に195万5千円の上限が設けられます。

・公的年金等に係る雑所得以外の合計所得合計が1,000万円を超え2,000万円以下である場合の控除額を上記から更に10万円引き下げられ、2,000万円超の場合にはそこから更に10万円引き下げられます。

③基礎控除の見直し

基礎控除について下記の見直しがされます。

・現状38万円の基礎控除を10万円上乗せし、48万円になります。(住民税は33万円⇒43万円)

・合計所得金額が2,400万円を超える個人については、その合計所得金額に応じて逓減し、2,500万円を超えると基礎控除は適用できなくなります。

    合計所得金額2,400万円以下・・・・・・・・・48万円(住民税は43万円)

    2,400万円を超え2,450万円以下・・・・・・・32万円(住民税は29万円)

    2,450万円を超え2,500万円以下・・・・・・・16万円(住民税は15万円)

④青色申告特別控除

正規の簿記の原則に従って記録している青色申告特別控除の控除額が65万円から55万円に引き下げられます。

ただし、正規の簿記の原則に従って記録している者であって、次に掲げる要件のいずれかを満たすものに係る青色申告特別控除額は65万円となります。

(ア)その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税関

   係帳簿書類の作成方法等の特例に関する法律に定めるところにより、電磁的記録の備え付け及

   び保存を行っていること

(イ)その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等の提出をその提出期限までに電子

   情報処理組織(e-tax)を使用して行うこと

上記については、平成32年分以後の所得税及び平成33年度分以後の個人住民税について適用されます。

3.法人税

①所得拡大促進税制の改組(所得税も同様)

<大企業>

青色申告書を提出する法人が次の要件を満たすときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができる制度とされます。この場合において教育訓練費の額が比較教育訓練費の額に対する増加割合が20%以上であるときは、給与支給増加額の20%の税額控除ができることになります。(法人税額の20%限度)

 (ア)平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以上であること

 (イ)国内設備投資額が当期の減価償却費の総額の90%以上であること

 

<中小企業>「大企業よりも要件が緩和」

 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができる制度とされます。この場合において次の要件を満たすときは、給与支給増加額の25%の税額控除ができることになります。(法人税額の20%限度)

 (ア)平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること

 (イ)教育訓練費の額の前期の教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上か、もしくは、その中小企業者等が事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもの等一定の証明がされる要件のいずれかを満たすこと

平成3041日から平成33331日までの間に開始する事業年度に適用

②情報連携投資等の促進税制の創設

青色申告書を提出する法人が革新的データ活用計画(仮称)に従ってソフトウェアを新設又は増設した場合において、情報連携利活用設備の取得等をした場合(5,000万円以上)に30%の特別償却と取得価額の5%の税額控除の選択適用ができるものとされます。生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の施行日から平成33年3月31日までに事業供用した場合に適用

③租税特別措置法の税額控除の改正

大企業が次のいずれの要件も満たさない場合には研究開発税制、情報連携投資促進税制等が不適用とされます。

・平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること

・国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること

平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間の開始事業年度に適用

④組織再編税制の見直し

・完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件のうち完全支配関係の継続要件について、その適格株式分配の直前の時までの関係により判定することとされます。

・当初の組織再編成の後に完全支配関係がある法人間で従業者又は事業を移転することが見込まれている場合にも、当初の組織再編成の適格要件のうち、従業者従事要件及び事業継続要件を満たすこととされます。

・無対価組織再編成について、適格組織再編成となる類型の見直しを行い、非適格組織再編成となる場合における処理方法の明確化が行われます。

・自社株を対価とした公開買付など任意の株式交換について、交換に応じた株主の譲渡損益課税の繰り延べ措置がとられます。

⑤収益認識基準

・収益認識時の価額

資産の販売、譲渡、役務の提供に係る収益の額として所得金額の計算上益金の額に算入する金額は、原則として資産の引き渡し時における価額又はその提供した役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とすることを法令上明確化されます。

・返品調整引当金

廃止されます。

平成30年4月1日において返品調整引当金制度の対象事業を営む法人について、平成33年3月31日までに開始する各事業年度については、現行通り。平成33年4月1日から平成42年3月31日までの間に開始する各事業年度については1年ごとに10分の1ずつ縮小されます。

⑥その他

・大法人の法人税、地方法人税、法人住民税、事業税、消費税等の確定申告書等の提出については、e-taxにより提供しなければならないこととされます。

平成32年4月1日以後の開始事業年度に適用

・法人税、地方法人税、法人事業税、地方法人特別税の申告書等における代表者、経理責任者等の自署押印制度が廃止されます。

・交際費等の損金算入制度の適用期限を2年延長

・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の適用期限を2年延長(所得税も同様)

・大法人の欠損金の繰り戻し還付の不適用措置の適用期限を2年延長

4.国際課税

恒久的施設(PE)関連規定の見直し

保管、展示、引き渡しその他特定の活動を行うことのみを目的として使用する事業を行う一定の場所等はPEに含まれないこととなりました。その場合、その活動が非居住者等の事業の遂行にとって準備的又は補助的な機能を有するものである場合に限ることとされました。 

5.その他

①登録免許税

・被相続人の先代名義の土地について、相続人等が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に

 名義変更する場合には登録免許税が免除されることになります。

・相続登記の促進のために土地の価額が10万円以下であるときは、所有者不明土地の利用の円滑化等

 に関する特別措置法(仮称)の施行日から平成33年3月31日までの間に登記をする場合には登録

 免許税が免除されることになります。

②森林環境税(仮称)の創設

国内に住所を有する個人に対して年額1,000円を住民税の均等割りに上乗せして賦課徴収されます。

平成36年度から課税されます。

③国際観光旅客税(仮称)の創設

訪日外国人客に加え、日本人が旅行や出張等で出国する際に一人当たり1,000円を徴収することとされました。適用時期は平成31年1月7日以後の出国となります。具体的な徴収方法は航空チケット料金への上乗せなどによるものとされています。