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東北地方太平洋沖地震に関する会計・税務上の取扱いについて

公認会計士 鏡高志

東北地方太平洋沖地震に関して、日本公認会計士協会、国税庁からそれぞれ災害に関する会計上、税務上の取扱いが公表されました。 より具体的なケースを想定して、会計上、税務上の取扱いを明らかにしたものですが、平時の会計処理、税務処理と差異を設けている点があるため、留意が必要です。

(1)共通の留意事項

  ※留意事項の詳細はこちら

(2)会計上の留意事項

   ①繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、収益力に基づく課税所得の十分性、タックスプランニングの存在及び将来加算一時差異の十分性をもとに判断されるため、災害等の影響を踏まえ、将来計画や課税所得の見直しを行った結果、繰延税金資産の取崩しが必要となる場合がある。

災害等により重要な税務上の繰越欠損金が生じた場合には、繰延税金資産に係る会社区分の見直しが必要となる場合がある。

   ②資産の評価

被災した取引先の財政状態が悪化し、売掛金等の営業債権の貸倒リスク等が高まった場合には、貸倒引当金の計上が必要となる。

時価のある有価証券は、取引所の相場を時価として評価するが、非上場株式等の時価の把握が困難な株式については、可能な限り災害発生の影響を反映させた実質価額を把握し、減損の要否を検討する必要がある。

物理的な損害を受けていない固定資産についても、災害の影響により、将来キャッシュ・フローが減少する場合には、減損判定の見直しが必要になる場合がある。

   ③開示

災害に係る損失は、臨時異常なものとして、原則的には特別損失として計上するものと考えられるが、金額的重要性を勘案し、別掲せず経常的な費用の一部として会計処理することも許容される。

災害に係る損失をまとめて特別損失として計上した場合には、注記において主要な項目について説明するという開示も考えられる。

2月決算会社など災害発生時以前が決算日の会社は、今回の災害に係る影響を開示後後発事象として取扱い、その影響が重要な場合には、注記を行う必要がある。

(3)法人税法上の留意事項

   ①災害による損失金の繰越

   法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち、棚卸資         

   産、固定資産等について災害により生じた損失に係るもの(災害損失欠損金額)がある場合には、その 

   事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても、その災害損失欠損金額に相当する金

   額は、その各事業年度において損金の額に算入される。

(4)義援金等の税務上の取扱い

   ①個人が義援金等を寄付した場合

特定寄付金に該当した場合、寄附金控除の対象となる。

寄附金控除額=その年中に支出した特定寄附金の合計額(※)-2,000円

   ※特定寄附金の合計額は所得金額の40%が上限

 <特定寄附金の例示>

ⅰ 国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等

ⅱ 日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの

ⅲ 社会福祉法人中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」として直接寄附した義援金等

ⅳ 社会福祉法人中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」(平23.3.15財務省告示第84号)として直接寄附した義援金等

ⅴ ⅰからⅳ以外の義援金等のうち、寄附した義援金等が、募金団体を通じて、最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの

②法人が義援金等を寄付した場合

「国又は地方公共団体に対する寄附金」(上記ⅰ、ⅱ、ⅲ又はⅴと同様のもの)、「指定寄附金」(上記ⅳと同様のもの)に該当した場合、支出額の全額が損金の額に算入される。

 ご不明な点があれば、担当の公認会計士・税理士にお問い合わせください。