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TSKニュース&トピックス

平成27年5月中旬号

「小規模宅地の特例」シリーズ4 「貸付事業用宅地等の特例」

税理士 坂本 雄一

今月号は小規模宅地の評価特例についてのシリーズ4として貸付事業用宅地等の特例について解説させて頂きます。貸付事業用宅地等の特例の要件を充足した場合、200㎡を限度面積として相続税評価額の50%相当額を減額することができ、その適用可否によって大きく相続税の負担額に影響を及ぼします。

1. 貸付事業用宅地等の特例の適用を受けるための要件

被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で下記表のいずれかを満たす被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した場合に適用可能となります。(下記表の要件は相続税の申告期限である10ヶ月間満たす必要があります。)

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2.アパートについて貸付事業用宅地等の特例の適用を受ける場合

貸付事業とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいますので、事業規模を問わず、小規模宅地等の評価特例を受けることができます。なお、小規模宅地等の評価特例は不動産の貸付けを相当の対価を得て継続的に行うものを対象としておりますので、使用貸借により貸し付けている場合には対象とはなりません。

3.アパートについて空室がある場合

相続開始の直前に空室となったアパートの1室については、空室となった直後から不動産業者を通じて新規の入居者を募集しているなど、いつでも入居可能な状態に空室を管理している場合は相続開始時においても被相続人の貸付事業の用に供されているものと認められ、また、申告期限においても相続開始時と同様の状況にあれば被相続人の貸付事業は継続されているものと認められます。従いまして、そのような場合は、空室部分に対応する敷地部分も含めて、貸付事業用宅地等の特例評価を受けることが可能と考えます。

4.駐車場について貸付事業用宅地等の特例の適用を受ける場合

小規模宅地の評価特例を受けるには、相続開始の直前において、被相続人等の宅地が建物又は構築物の敷地の用に供されていることが必要となります。従いまして、アスファルトやコンクリートで舗装されていない青空駐車場については、その駐車場の規模、経営形態に関わらず、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。
なお、被相続人等の宅地が建物又は構築物の敷地の用に供されていることが要件とされておりますが、被相続人等が建物又は構築物の所有者であることまでは求められておりません。従いまして、土地を更地のままコインパーキング業者等に貸し付け、借り受けた業者が敷地にアスファルト舗装を行い、土地の所有者はほとんど経費負担をせず、継続的に業者から賃料を受け取る場合であっても、コインパーキング業者が行った敷地全面のアスファルト舗装等が構築物として認められれば、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

5.まとめ

小規模宅地の特例については、上記4の様に、相続発生前にアスファルトの舗装をしておくことで相続時に効果が得られる場合がございます。保有されている不動産の現況及び小規模宅地の適用の有無の確認など、事前の対策がより重要となってきます。