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TSKニュース&トピックス

平成29年10月 第1号

欠損金の繰り戻しによる還付について

TAX部門 シニアマネージャー/税理士 石井 宏和

「欠損金」と聞くと、「将来の所得と相殺するもの」と理解されている方が多いのではないでしょうか。そのご理解で間違いはありませんが、一定の条件を満たした場合、「将来の所得」ではなく「過去の所得」と「欠損金」を相殺し、過去に納付した税金の還付を受けることができます。 今回は、欠損金を過去の所得と相殺する「欠損金の繰り戻しによる還付」の制度についてご紹介をさせて頂きます。

1.制度の概要

欠損金の繰り戻しによる還付の制度は、①青色申告書である確定申告書を提出した事業年度に欠損金が生じた場合に、②その欠損金額を、欠損金が生じた事業年度の開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に納付した法人税額の還付を請求できるというものです。しかしながら、現行では本制度の適用を受けることができる法人は、資本金の額が1億円以下である法人等に限られており、資本金が1億円を超える法人や、資本金が1億円以下である法人でも、資本金が5億円以上の法人の100%子会社である場合には適用を受けることができません。

2.還付される金額

本制度の適用を受けることができる場合、次の計算式によって算出される金額が還付されます。

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なお、本制度の適用により法人税が還付をされる場合、還付を受けようとする事業年度において、地方法人税を納付していた場合には、上記の計算式により算出された還付金額に4.4%を乗じて算出した金額も併せて還付されます。

3.適用要件

本制度の適用を受けるためには、次の要件を全て満たす必要があります。
①還付を受けようとする事業年度から欠損が生じた事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していること
②欠損が生じた事業年度の青色申告書である確定申告書を提出期限までに提出していること
③上記②の申告書と同時に欠損金の繰り戻しによる還付請求書を提出していること
 

4.本制度の適用を受ける際の留意点

・本制度は、地方税(都道府県民税、市町村民税、事業税)についての適用はありません。とはいえ、本制度を適用した欠損金が地方税で使用できなくなるわけではなく、地方税については欠損金が生じた事業年度の欠損金額は翌期以降に繰り越すことができます。
・本制度を適用した場合、必ずというわけではありませんが税務調査の依頼を受ける可能性があるものと考えられます。本制度の適用を検討される際には、弊事務所の担当者にご相談ください。

<執筆者紹介>

TAX部門 シニアマネージャー/税理士 石井 宏和

上場企業及び上場企業の関係会社を中心に決算業務、申告書の作成、税務相談業務に従事。

Column

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