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TSKニュース&トピックス

平成30年5月 第1号

3月決算法人の平成31年3月期第1四半期決算の留意点

TAX部門所属 スタッフ 北村 伸夫

今回のTSKニュースでは、3月決算法人の平成31年3月期第1四半期決算に向けて、会計・税務の留意すべき点をご紹介いたします。

<会計>

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表

平成30年2月16日にASBJ(企業会計基準委員会)より「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等が公表されました。本会計基準は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。本会計基準における主な改正内容は以下の通りとなります。
 

① 個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い

従来は、個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異について、一律、繰延税金負債を計上することとされていました。改正後は、連結財務諸表の取扱いに合わせ、親会社がその投資の売却等を当該会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間に、その売却等を行う意思がない場合を除き、繰延税金負債を計上する取扱いへ変更されました。
 

②(分類1)に該当する企業における繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い

(分類1)に該当する企業における繰延税金資産の回収可能性について「原則として」という一文が追加され、「原則として、繰延税金資産の全額について、回収可能性がある。」とされました。 これにより、例えば、完全支配関係にある国内の子会社株式の評価損について、企業が当該子会社を清算するまで当該子会社株式を保有し続ける方針がある場合等、将来において税務上の損金に算入される可能性が低いときに、当該子会社株式の評価損に係る繰延税金資産の回収可能性はないと判断することが適切との考えが明確化されました。

③ 表示

本会計基準において、繰延税金資産は「投資その他の資産」の区分に表示し、繰延税金負債は「固定負債」の区分に表示することとされ、従来の関連する資産・負債の分類に基づく区分表示は不要となりました。

④ 注記事項

注記事項には、①評価性引当額の内訳に関する情報、②税務上の繰越欠損金に関する情報が追加されました。
 

<税務>

① 法人税率の引下げ

平成30年3月31日までの間に開始する事業年度の法人税の税率は23.4%となっておりましたが、平成30年4月1日以後に開始する事業年度からは23.2%に変更となりました。

② 繰越欠損金の控除制限

大法人(中小法人等以外の法人)については所得金額から控除することができる欠損金額には制限があります。従来、この制限は所得金額の55%となっておりましたが、平成30年4月1日以後に開始する事業年度においては50%となりました。
※中小法人等…普通法人のうち資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(大法人との間に完全支配関係がある法人等を除く。)
 

③ 欠損金額の繰越の延長

平成30年度4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額については、繰越期間が9年から10年に延長されました。これに伴い、欠損金額の繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存期間、法人税の欠損金額に係る更正の期間制限、法人税の欠損金額に係る更正の請求期間も10年に延長されました。
 

④ 所得拡大促進税制の見直し(賃上げ・投資促進税制への改組)

所得拡大促進税制は適用要件と税額控除額に関して、企業の規模に応じた見直しが図られました。
 

〇中小企業者等(※1)以外の大法人

給与等の支給額増加に関する要件だけでなく、新たに国内設備投資額による要件が設けられました。また、給与等支給額に関する要件も簡素化が図られています。改正後の要件は以下の通りです。
❶国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上であること
❷今期の継続雇用者(※2)に対する給与等支給額が前期比3%以上増加すること
上記の要件を満たした場合、国内雇用者に対する給与等支給額の前期からの増加額に対して15%の税額控除を適用することが可能です(※3)。
 

〇中小企業者等(※1)

大法人と同様に、給与等支給額に関する要件が簡素化されました。ただし、中小企業者等については、設備投資に係る要件は課されていません。改正後の要件は以下の通りです。
❶今期の継続雇用者(※2)に対する給与等支給額が前期比1.5%以上増加すること
上記の要件を満たした場合、国内雇用者に対する給与等支給額の前期からの増加額に対して15%の税額控除を適用することが可能です(※3)。
※1:中小企業者等…資本金の額が1億円以下の法人(大規模法人に一定以上の株式を所有されている法人を除く)等
※2:継続雇用者…当期と前期のすべての月に給与の支給がある国内雇用者
※3:教育訓練費が増加するなど一定の要件を満たした場合には、控除割合の上乗せ措置が設けられています。なお、いずれの場合も、控除できる金額は法人税額の20%が限度となります。
 

⑤ 情報連携投資等の促進に係る税制の創設

第4次産業革命で激変するビジネス環境に迅速に対応するため、生産性の向上が図られるIoT投資(ソフトウェア、センサー、ロボット等を連携させる投資)に対して、主務大臣の認定を受けることにより、特別償却30%又は税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)の適用を受けることができることとなりました。この税制の最低投資額は5,000万円となり、一定のセキュリティー対策が講じられていることをセキュリティの専門家が担保する必要があります。
 
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<執筆者紹介>

TAX部門/スタッフ 北村 伸夫

上場企業の関係会社及び中小企業を中心に決算業務、申告書の作成、税務相談業務に従事。

Column

日本橋に事務所を移転して、3年目の季節を迎えようとしています。
これまで多くの皆様に支えられ、また新たな1年がスタートできることに心より感謝申し上げます。日本橋に移転してからは、特に個人の相続税申告のご依頼や事業承継のご相談が増えてきています。相続税の申告件数は年間500件に達する勢いですし、また、本年の税制改正の目玉である「事業承継税制の特例」についても、早速お客様から前向きなご相談を頂いています。弊事務所は、「事業承継税制の特例」など新しい制度についても積極的に取り組んでおり、お客様の様々なご相談に対応できることが弊事務所の最大の強みです。この強みを生かしながら、また一年精進して参りますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。