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令和4年6月第2号

相続税の農地の納税猶予について

個人資産税部門 坂巻 昌亨

以前、生産緑地2022年問題を取り上げ、メリットデメリットについてお話させていただきましたが、生産緑地を継続し、その後土地所有者が亡くなった場合は相続税の納税猶予を受けることができます。今回は、相続税の農地の納税猶予制度についてご説明いたします。

相続税の農地の納税猶予の特例とは

農業を営んでいた被相続人から、農地等を相続により取得した農業相続人が、その農地等において引き続き農業を営む場合には、本来の相続税額と農地を農業投資価格によって評価して算出された相続税額の差額が猶予される制度のことです。

※農業投資価格とは租税特別措置法第70条の6第2項に規定する農地等についての相続税の納税猶予額算定の基礎となる価格のことを言います。(国税庁HPから下表が公表されています。)

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令和2年分農業投資価格の金額表(10アール当たり「1アール=100㎡」)

(1)農地の納税猶予を受けるための手続き等

・農業委員会において「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」の発行が必要となります。
(三大都市圏の農地に対し猶予を受ける場合には、市長が証明する「納税猶予の特例適用の農地等該当証明書」の発行が必要となります。

・遺言書又は遺産分割協議書で納税猶予適用対象地の分割が確定していることが前提となります。遺言書又は分割協議書の税務署提出も必要となります。

・納税猶予の手続きは必要書類の収集に時間がかかりますが、相続税の申告書と合わせ申告期限内に申告、納付、添付書類の提出を行う必要があります。納税猶予とその言葉の通り、納税の免除ではないため、納税猶予額及び、利子税の額に見合う担保提供書の提出も同時に必要となります。

(2)相続税申告後の注意点
・農地の納税猶予制度は、農業を継続していることが前提となりますので、納税猶予期間中に譲渡や、農地以外へ転用、農業経営の廃止など農業を継続していることが確認できない場合には猶予していた相続税及び利子税を納付しなければならなくなります。継続経営をしていることを証するために、対象農地管轄の農業委員会において「引き続き農業経営を行っている旨の証明書」を発行してもらい3年毎に「相続税の納税猶予の継続届出書」とともに税務署へ提出する必要があります。
なお、主たる農業従事者の死亡の場合には、納税猶予に係る相続税及び利子税は免除されます。

(3)さいごに
納税猶予を受けるにあたっては相続税の納税資金確保の有無等を事前に試算すること及び事前の準備が大切になります。お困りの際は是非ご相談ください。

執筆者紹介

個人資産税部門 坂巻 昌亨

 相続税申告のほか、相続対策や事業承継など、個人資産税業務に 従事しています。