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令和4年7月第2号

相続税における「生計を一にしていた親族」とは

個人資産部門 吉田裕平 

被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等について、一定の要件を満たす場合に、その宅地等の評価額を50%又は80%減額して相続税を計算することができる特例(小規模宅地等の特例)が設けられています。 この特例のうち、「生計を一にしていた親族」の範囲は明確ではなく、特例の適用にあたって判断に悩むことも少なくありません。 そこで、今回はまず小規模宅地等の特例を受けるための要件を確認し、「生計を一にしていた親族」の範囲について考えてみます。

【1】小規模宅地等の特例を受けるための要件

・特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等

被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用に供されていた宅地等について、取得した親族が相続税の申告期限まで引き続き所有し、かつ事業の用に供していることその他一定の要件を充足すると特例の適用ができます。この場合、宅地等の評価額を400㎡まで80%減額(貸付事業の場合は200㎡まで50%減額)することが可能です。

・特定居住用宅地等

被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた宅地等について、配偶者、同居親族、その他一定の親族が取得した場合には、その宅地等の評価額を330㎡まで80%減額することが可能です。

 

【2】「生計を一にしていた親族」の判定

・同居していた場合

 被相続人と同居していた親族である場合、明らかにそれぞれが独立した生活・生計を営んでいると認められる場合を除いて、原則として「生計を一にしていた親族」であると考えられます。なお、住民票上の住所が被相続人と一致しているものの、生活の本拠は別である場合などは同居していると認められません。

・別居していた場合

 被相続人と別居していた親族である場合、被相続人とその親族が互いに独立して生活・生計を行えるだけの収入・貯蓄があれば、一般的には生計を別にしていたものと解されます。

 被相続人又は別居していた親族の片方について、十分な収入・貯蓄がない場合は、少なくとも、居住費や食費、光熱費など日常生活の費用の全部又は主要な部分を共通にしていた関係にあったことが必要となると解されています。その他の要素も含め、別居親族である際は総合的に勘案して判定します。

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所得税や法人税の分野において、生計一親族の範囲は規定されていますが、小規模宅地等の特例の適用にあたって、その範囲を同様とするのは適切ではないとする裁判例もありますので注意が必要です。

執筆者紹介

個人資産部門 吉田裕平 

相続税申告の他、相続対策や事業承継など個人資産税業務を中心に、上場企業の関係会社及び中小企業の決算業務、法人税申告業務、税務相談業務にも従事しています。