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TSKニュース&トピックス

平成17年7月号

中小企業の会計に関する指針

今回は6月13日に公開草案が公表された「中小企業の会計に関する指針」についてその概要をご説明します。
これまで、わが国の中小企業では、監査が義務付けられておらず、実務上の影響から税法規定が重視され、大企業と同じ会計基準は厳密には適用されていないのが実状でした。しかし、この指針案が公表され、また新会社法の施行(会計参与制度の導入)により、今後は中小企業においてもこの指針に基づいた決算書の整備が進むと予想されます。以下に、今回公表された指針のうち、主な内容について説明します。
 

1.有価証券

有価証券は保有目的に応じて分類を行い、「売買目的有価証券」については時価にて貸借対照表(B/S)計上し、評価差額は営業外損益として処理することとされ、それ以外については取得原価での貸借対照表(B/S)計上も認められました。ただし、「その他有価証券」として市場価格のある株式を多額に保有している場合は、それらの株式は時価をもって貸借対照表(B/S)に計上し、評価差額は資本の部に計上することとされました。また、取得原価で貸借対照表(B /S)計上する場合でも、時価が著しく下落した時は、将来回復の見込みがある場合を除き、時価をもって計上し評価差額は特別損失に計上することとされました。

2.固定資産の減価償却と減損会計

固定資産の減価償却は、税法では任意償却事項のため、赤字企業等では意図的に償却を行わないという処理も選択可能でした。しかし、今回の指針では、減価償却は経営状況の如何に関わらず毎期継続して規則的に行うこととされました。また、固定資産の減損会計については、将来の使用の見込みがないことが明らかで、かつ、時価が著しく下落している資産に限定して適用するものとされました。
 

3.退職給付会計

確定給付型退職給付制度を採用している場合は、引当金の計上が必要であることが明文化され、この場合、原則として簡便的方法である期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を適用できることとされました。また、中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度及び確定拠出型年金制度を採用している場合は、毎期の掛金を費用処理することとされました。
 

4.税効果会計

税効果会計については、一時差異(会計上の簿価と税務上との簿価)の金額に重要性がない場合は、繰延税金資産(負債)を計上しないことができるとされました。また、繰延税金資産を計上する場合は回収可能性について厳格かつ慎重に判断を行い、回収可能性があると判断できる金額を計上することとされました。

なお、当該指針は公表されたばかりで、まだ草案のため、実務上の対応をはじめ詳細については、今後改めて検討が必要な部分もありますので、当事務所でもフォローアップしていきたいと考えております。