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BCP(事業継続計画)について

自然災害に“備える”という選択 地震、台風、豪雨――。日本に暮らす私たちは、常に自然災害のリスクと隣り合わせです。それでも、「何とかなるだろう」と対策を後回しにしていませんか? 事業の停止は、信用の失墜や顧客離れ、ひいては経営危機に直結します。このような事態を防ぐ鍵が BCP(事業継続計画) です。BCPは、危機に備えるだけでなく、業務改善や経営の見直しにつながる経営ツールでもあります。本稿では、BCPの基本とその活用法について解説します。

1.BCPとは

BCPは、備えであり経営戦略でもある

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害、感染症、サプライチェーンの断絶など、あらゆる危機に直面した際に、事業を止めず、または速やかに再開するための計画です。単なる災害対策にとどまらず、中核事業の見極めや業務の優先順位整理を通じて、平時からの経営効率化や体質強化、そして企業のレジリエンス(危機対応力)の向上にもつながります。

▼BCP策定企業の実感(※帝国データバンク調査より)

・約50%が従業員のリスク意識向上を実感

・約30%が中核事業の整理を実施

・約25%が業務改善の効果を報告

BCPは、平時の改善と有事の備えを兼ねた「経営強化策」としての機能を持ち、結果として企業の持続的な成長とレジリエンスの確保に資する取り組みです。

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2.BCPの目的

危機時の損失最小化と信頼維持

BCPの目的は、地震・事故・感染症などの予期せぬ事態に直面した際でも、重要な業務を中断させず、あるいは迅速に復旧させることにあります。これにより、従業員の安全を守り、顧客・取引先からの信頼を維持し、企業としての社会的責任を果たすことができます。

▼ BCPにより実現できる主な効果

・重要業務の継続と早期復旧停止期間を短縮し、社会的影響を最小化

・従業員・関係者の安全確保人命保護や避難計画の整備

・経営資源の保護設備、データ、供給網などの維持

・信用・ブランド価値の維持危機への備えが信頼につながる

3.BCPの策定

BCP策定は業務改善の好機

BCPを策定する過程では、中核事業の特定、業務の優先順位整理、従業員の役割・手順の明確化などが求められます。この過程自体が、平時の業務見直しと改善につながる重要な機会となります。したがって、BCPは単なる非常時対策にとどまらず企業の競争力や信頼性を高める経営戦略の一環と位置づけることができます。なお、中小企業庁が公開する段階的なガイドブックや支援ツールを活用すれば、より実践的なBCP策定が可能です。今こそ、リスク管理の強化と業務改善を同時に進める好機として、BCPに取り組んでみてはいかがでしょうか。

<執筆者紹介>

FAS部門  蜷川 廉

一般会社を経て、税理士法人髙野総合会計事務所へ入所。現在はFAS部門に所属し、事業再生業務に従事しています。