租税条約による源泉徴収の減免について
コーポーレート部門 古瀬 智啓
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国内に住所がないか、現在まで引き続いて1年以上居所がないような非居住者や国内に本店や主たる事務所がないような外国法人が、日本において源泉徴収の対象となる報酬や給与等の支払を受ける場合には、「租税条約に関する届出書」を提出することによりその源泉徴収される所得税及び復興特別所得税について軽減又は免除を受けることができます。今月は国外取引に係る源泉徴収の減免手続きについてご紹介いたします。
1. 非居住者に対する課税及び源泉徴収の仕組みとは?
2. 届出書の提出により減免が可能に!
上記1の通り、日本の税制では支払をする者において支払時に源泉徴収する必要がありますが、源泉徴収制度は日本特有の制度のため非居住者等に対する国外取引の場合には、一つの所得に対して日本と外国との間で二重に課税とされる可能性がありえます。その国際的な二重課税を回避するために日本はアメリカ・イギリス・中国等の多数の国と「租税条約」を締結しています。その租税条約に基づいて、源泉徴収の対象となる所得の支払を受ける非居住者等が、日本において源泉徴収される所得税及び復興特別所得税について、「租税条約に関する届出書」を提出することによりその税額につき軽減又は免除を受けることができます。届出書は、所得の支払者である源泉徴収義務者ごとに正副2部作成し、最初にその所得の支払を受ける日の前日までに、支払者を経由して支払者の納税地の所轄税務署長に提出します。支払を受ける日の前日までに届出書を税務署長へ提出していない場合には、支払者が、その支払の際に源泉徴収をしますが、後日届出書とともに「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」を、支払者を通じて支払者の所轄税務署長に提出することで、軽減又は免除の適用を受けた場合の源泉徴収税額と、既に源泉徴収された税額との差額について、還付を請求することができます。