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TSKニュース&トピックス

令和3年7月第1号

青色欠損金の繰戻しによる還付制度

税務部門 税理士 王 澤超

新型コロナウイルス感染症の影響は、資金面において、中小企業のみならず、上場企業にも、深刻な影響を及ぼしております。これまで、中小企業者等だけが適用可能だった青色欠損金の繰戻し還付制度が、新型コロナ税特法の創設により、期間限定で、資本金の額が10億円以下の法人でも適用可能となりました。そこで、今一度、青色欠損金の繰戻しによる還付制度と、今回の新型コロナ税特法等における特例について、ご紹介します。

1.青色欠損金の繰戻還付制度

(1)概要

青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(以下「欠損事業年度」)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」)に繰戻して法人税額の還付を請求することができる制度となっております。なお、この制度において、還付を請求することができるのは、国税である法人税及び地方法人税となっており、法人事業税などの地方税法に基づくものについては、適用されません。

(2)適用対象者

・普通法人のうち、事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(ただし、資本金5億円以上の法人の100%子会社は除かれます。)
・公益法人等及び協同組合等  
・人格のない社団等

(3)要件

・還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度において連続して青色申告書である確定申告書を提出していること
・欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること
・青色申告書である確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること

4)還付金の計算方法

・法人税(百円未満切捨しない)

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・地方法人税(百円未満切捨しない)

 上記の還付金額に還付所得事業年度において適用された地方法人税の税率(4.4%又は10.3%)を乗じて計算した金額。

(5)その他留意点

解散(適格合併によるものを除く)、事業の全部譲渡、更生手続の開始など一定の事実が生じた場合には、上記(2)適用対象者に該当しない法人にも、その事実が生じた日前1年以内に終了した事業年度又はその事実が生じた日の属する事業年度において生じた欠損金額には、当該制度の適用が認められます。また、清算中に終了する事業年度における法人については、上記(2)適用対象者に該当しない法人にも、当該制度の適用が認められます。

2.新型コロナ税特法の特例

(1)対象期間

令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する各事業年度において生じた青色欠損金


(2)対象会社

上記1、(2)の適用対象者に加え、資本金が1億円超10億円以下の法人も対象になります。
ただし、資本金10億円超の法人の100%子会社は除かれます。


(3)期限の延長

新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに申告、還付請求の手続きが難しい場合には、その期限を個別に延長することが可能とされています。

執筆者紹介

税務部門  税理士 王 澤超
一般会計事務所に従事した後、税理士法人髙野総合会計事務所に入所。現在は税務部門にて、主として決算業務、申告書の作成、税務相談業務に従事。

Column

2021年3月期の監査報告書から、監査上の主要な検討事項(KAM)が記載されています。ソフトバンクグループは、大型投資で話題となったアーム社ののれん評価の合理性、東芝は不適切経理の一因となった見積総工事原価の妥当性、新型コロナウイルスにより大打撃を受けているKNT-CTホールディングスは、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価と、概ね見積り評価に関する記載が中心となっています。企業のリスクがどこにあるのか、気になる企業があれば、KAMを確認してはいかがでしょうか。