お問合せ
ENGLISH
メニューを開く

アクセスマップサイトマップ
個人情報保護方針


[東京本部]
TEL 03-4574-6688(代表)
受付 9:00〜19:00(平日)

TSKニュース&トピックス

令和4年9月 第2号

相続時精算課税制度について

個人資産部門 髙橋 佳奈子

相続の生前対策として相続時精算課税制度がよく挙げられます。2,500万円までなら贈与税がかからず次世代へ資産を承継できる制度として大変便利ですが、メリット・デメリットがあるため制度の内容を把握したうえで、制度を選択することが重要です。そこで今回は、相続時精算課税制度を選択する際のポイントを解説いたします。

1.相続時精算課税制度とは

60歳以上の父母または祖父母から18歳(※1)以上の子または孫に対し財産を贈与する際に、合計2,500万円まで贈与税がかからない制度です。贈与財産の種類や金額などに制限はありません。しかし、相続発生時には相続時精算課税制度を適用した財産と通常の相続財産を合計して相続税の申告を行います。この制度を選択する場合には、贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与税の申告書を提出する必要があります。
※1 民法の成年年齢の引き下げにより令和4年4月以後の相続・贈与について20歳から18歳に改正されました。

2. 制度のメリット

最大のメリットは2,500万円の控除が受けられることです。2,500万円を超えた場合は超えた部分に対して一律20%の贈与税がかかります。 相続発生時には贈与時点の金額で相続財産と合算するため、今後値上がりしそうな土地・建物や業績の良い会社の非上場株式を評価額が低いうちに本制度を利用し、贈与を行うことで節税に繋がります。賃貸物件など贈与した場合には、その財産から得られる利益を早い時点で承継することができ、相続財産の増加を抑えることができます。

3. 制度のデメリット

この制度を一度選択してしまうと、暦年贈与の適用ができなくなります。非課税枠の110万円が使えなくなり、選択後は相続時精算課税制度の適用を受け続けることになります。また、小規模宅地等の特例は相続や遺贈によって取得した宅地に適用されるため本特例の適用ができなくなります。一定の要件を満たすと土地の評価額を最大80%減額できる特例のため、相続時精算課税制度との有利選択が必要となってきます。

0912.jpg

4.まとめ

今回は相続時精算課税制度のポイントを紹介させていただきました。2,500万円まで贈与税がかからず次世代へ資産を承継できる便利な制度です。しかし、本制度は相続発生時までの納税の先送りでもあり、暦年贈与や小規模宅地等の特例との有利選択や本制度を適用するタイミングなど、お困りの際はぜひ弊事務所までご相談ください。

執筆者紹介

個人資産部門 髙橋 佳奈子
相続税申告の他、相続対策や事業承継など個人資産税業務を中心に、中小企業の法人税申告、決算業務にも従事しています。