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TSKニュース&トピックス

令和3年11月第3号

中小企業とIPO(株式上場)

FAS部門 古家 嵩章

中小企業経営者が自社の成長、発展を図るための方法として、みなさんはどのような方法を思い浮かべるでしょうか。前回の記事では中小企業におけるM&Aについての話題でしたが、今回は中小企業が抱える課題を解決する手段の一つとして、IPO(株式上場)について解説したいと思います。最近では2022年4月から東京証券取引所における市場区分が再編されることが話題となっている上場市場ですが、一見すると自分の会社とは関係が薄そうに感じるIPOが中小企業経営者にどんなメリットをもたらすのかについて考えてみたいと思います。

IPOのハードルは意外と高くない?

「IPOは急成長しているベンチャー企業が目指すもの。うちは売上規模も小さいから、IPOなんて関係ない」といった印象をお持ちの方も多いと思いますが、実は2020年にマザーズに上場した会社(63社)のうち、売上高20億円未満の会社は全体の約半数で、さらに売上高10億円未満の会社は17社あり全体の27%程度を占めています(下記円グラフ参照)。また、審査基準が比較的低い地方の証券取引所(札証、名証、福証)や時価総額等の形式基準がないTOKYO PRO Marketなどの上場先もあります。

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IPOが後継者不足、人手不足問題を解決する?

中小企業庁のデータによれば、2025年までに約60万社が後継者不足によって黒字倒産する可能性があると言われています。事業承継で会社を存続させていくことは、中小企業にとって必須の課題と言えます。IPOを実現することで外部から優秀な人材を獲得しやすくなりますので、後継者候補を増やすのにIPOは有効な手段と言えます。 また、上場企業という社会的地位と知名度向上により多くの人材が会社に集まり易くなるため、人手不足解消にも有効であると言えます。さらに、それ以外にも会社の信用力や資金調達能力が向上し、銀行融資のような間接金融に加えて、株式などの直接金融による資金調達も可能になるため、事業拡大等による持続的発展に有効であることや、株主(オーナー)にとっても、非上場株式をお金に換えることは簡単ではありませんが、IPOを果たすことで、保有する株式の価値を高め資金化しやすくなり、利潤確保につながるというメリットなどもあります。

ショートレビューはIPOのスタートライン

では具体的にIPOを目指す場合、いったい何から始めればいいのでしょうか。まず必要なのが、上場するために必要な課題の抽出です。その為に監査法人によるショートレビューを受けるのが一般的です。ショートレビューとは、企業が上場の意思決定をした際に監査法人が行う企業調査の一つであり、短期調査・予備調査・クイックレビューとも言います。ショートレビューでは上場基準からみた事業計画、財務基盤、内部管理体制、ディスクロージャーなどを整備する上での課題の洗い出しを短期間で調査するため、自社の現状を正確に把握し、上場までの要改善事項や上場までの具体的な道筋と全体像が見えてきますので、上場準備を進めるにあたっては必要不可欠です。

高野総合グループではショートレビュー業務を含めたIPO支援サービスを行っておりますので、何かお手伝いできることがございましたら何でもご相談いただければと思います。

執筆者紹介

FAS部門 古家 嵩章

大手監査法人にてIPO支援及び上場企業の監査業務を経て髙野総合会計事務所に入所。現在は中小企業の事業再生業務、M&Aのデューデリジェンス業務に従事しています。