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中小企業を取り巻く「値上げ」への対応

FAS部門  達川 圭吾

近年、中小企業は様々な環境の変化によって、生産コストの上昇を余儀なくされています。様々な値上げに対応すべく、どのように自社の商品・サービスへの価格転嫁を行い、利益を獲得して成長へとつなげていくかが喫緊の課題と認識されている事業者様も多いことかと思います。今回は2025年4月25日に閣議決定された2025年版「中小企業白書」を踏まえながら、中小企業のおかれる現状をご紹介いたします。

1.中小企業にとっての経営上の「重し」は何か?

中小企業が直面する最大の経営課題は、「人件費の上昇」(3,241社、61.56%)、次いで「電気代などエネルギー価格の上昇」(2,996社、56.90%)、「人材の採用難」(2,874社、54.59%)というアンケート結果となりました。上位3項目以降でも、原油価格の上昇や、物流費の上昇など、コストアップ要因への懸念が根強い結果となっています。

中小企業は様々なコストアップの波にさらされている中、どのように適切な価格設定を実現するかが経営上重要な課題の一つといえます。

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(出典:㈱東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」よりTSK加工)

2.中小企業における価格転嫁の状況

右図は、2022~2024年におけるコスト全般及び各コストの変動に対する価格転嫁率の推移です。各コストの転嫁率は上昇傾向であり、「コスト全般」の転嫁率は直近で5割程度(49.7%)まで上昇しているものの道半ばの状況であり、今後さらなる価格転嫁の実現が望まれます

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(出典:経済産業省「価格交渉促進月間 フォローアップ調査」よりTSK加工)

3.適切な価格設定に向けて

2025年4月25日に閣議決定された2025年版「中小企業白書」においては、自社の製品・商品・サービスの差別化、急激な変化を伴う市場環境を意識した経営を実施している事業者ほど、自社の競争力強化につながり、価格転嫁の実現度合いに影響している可能性を示しています。

また、当然ながら適切な価格設定や費用低減に取り組む企業ほど、利益率・設備投資額・賃金水準は高い傾向にあり、好循環を実現している傾向にあると指摘されています。様々なコストが上昇する中での適切な価格設定の実現に向けて、発注企業に対して積極的な交渉を行う上では、自社の強みを再確認し、商品・サービスの品質向上・差別化を図ることはもちろん、原価計算等の適切な準備を行う必要があります。

当事務所では、通常の税務顧問業務の他、FAS部門ではこれまで約300社への経営改善や成長支援など幅広いコンサルティング業務の実績がございます。何かお困りごとがございましたら是非ご相談ください。

執筆者紹介

FAS部門  達川 圭吾

保険会社を経て、税理士法人髙野総合会計事務所へ入所。現在はFAS部門に所属し、事業再生業務、М&Aのデューデリジェンス業務に従事しています。