防衛特別法人税の創設
法人部門 松井 良樹
1.制度の内容
(1)納税義務者
各事業年度の所得に対する法人税を課される法人(人格のない社団等及び法人課税信託の引受けを行う個人を含みます。)が納税義務者となります。
(2)税額の計算
防衛特別法人税は、以下の算式により計算されます。
①基準法人税額とは、所得税額控除や外国税額控除など、一定の制度を適用しないで計算した法人税の額をいいます。
②基礎控除額は、年500万円となります。
なお、通算法人の基礎控除額は、年500万円を各通算法人の基準法人税額の比で配分した金額となります。 上記の配分は、通算法人の基準法人税額が期限内申告における基準法人税額と異なる場合には、原則として期限内 申告における基準法人税額により配分されます。
③防衛特別法人税からは、下記の税額控除が行われます。
イ 外国税額の控除
ロ 分配時調整外国税相当額の控除
ハ 控除対象所得税額等相当額の控除
ニ 仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う防衛特別法人税額の控除
(3)申告及び納付等
①申告期限・納期限・電子申告の特例
防衛特別法人税の申告期限、納期限及び電子申告の特例は、法人税と同様とされます。
②中間申告
法人税の中間申告書を提出すべき法人は、防衛特別法人税の中間申告書を提出する必要があります。
③還付
防衛特別法人税の計算上、中間納付額が過大であるときや、法人税につき欠損金の繰戻し還付による法人税の還付の請求を行った場合には、併せて防衛特別法人税が還付されます。繰戻し還付金額は以下の算式により計算されます。
※課税標準法人税額とは、基準法人税額から基礎控除額を控除した金額をいいます。
<執筆者紹介>
法人部門 松井 良樹
上場企業の関係会社及び中小企業を中心に決算業務、申告書の作成、税務相談業務、月次巡回監査業務に従事するほか、所得税の確定申告書の作成業務にも携わっております。
Column
夏の参議院選挙が近づく中、政府では消費税減税の議論が活発になっています。物価高の中、家計を支援するために税率の引き下げを求める声や、食料品などの軽減税率に限って引き下げを求める声なども挙がっているようです。ただし、物価高に対する消費税減税は、その有効性に疑問視する専門家の意見も多く、政府も財源の問題などを理由に「現時点においては、減税は適切ではない」という見解を示しています。弊事務所でも、消費税を含めた税制の動きについて、政府の議論にも注視し、引き続き皆様にスピーディーな情報発信をしていきます。