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高齢の親が認知症になると、預金や不動産を家族が自由に管理・処分できなくなることがあります。こうした将来の財産管理に備える方法の一つが、家族信託です。家族信託は、認知症対策に加え、収益不動産の管理、事業承継、障がいのある子の生活保障、将来の財産承継にも活用できます。今回は、その仕組みと特徴をご紹介します。 ※本稿は一般的な制度を説明したものです。実際の取扱いは、信託契約の内容や財産の種類、家族関係などによって異なります。

1.家族信託の基本的な仕組み

家族信託は、家族などの信頼できる人に自分の財産を託し、信託の目的に沿った管理・運用・処分を行う仕組みのことであり、民事信託の一般的な呼称です。財産を信託する人を委託者、財産を管理・運用・処分する人を受託者、信託財産から生じる利益を得る人を受益者といい、家族信託では、委託者と受益者が同一人物である自益信託が一般的です。
※家族信託における課税関係については、2020年12月11日発行のTSK NEWS「民事(家族)信託における税務上の取り扱い」にて詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。

2.家族信託のメリット

(1)認知症に備えた財産管理・・・委託者の判断能力が低下した後も、信託契約に基づき、受託者である信頼できる家族による、預金管理、不動産の修繕、賃貸借契約、売却を行えます。口座の凍結などの心配事に対して事前に対策を打つことができます。
(2)収益不動産の継続的な管理・・・不動産の名義人が認知症になってしまうと、家族といえども本人の代わりに賃貸借契約を結ぶことはできません。賃貸アパートなどを信託することで、受託者が家賃の回収、管理会社との契約、修繕工事などを継続して行えます。
(3)将来の財産の承継先の指定・・・当初受益者の死亡後は配偶者、その配偶者の死亡後は子というように、一定の範囲で複数世代にわたる財産承継を設計できます。

3.遺言・成年後見制度との比較

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各制度は、いずれか一つを選択するものとは限りません。財産内容や家族関係、将来の希望に応じて複数の制度を組み合わせて検討することが重要です。

4.留意点

受託者には、①善管注意義務、②忠実義務、③分別管理義務、④帳簿等の作成・報告・保存等の義務が課されています。これらの義務に違反して信託財産に損失を生じさせた場合には、損失填補等の責任を負うことがあり、受託者の負担は大きいといえます。また、家族信託は契約を締結して終わりではありません。設定後の財産管理、税務申告、相続、信託終了まで適切に運用することが重要です。信託契約の内容や財産の種類、家族構成などによって、税務上の取り扱いが異なるため、信託に精通した専門家(税理士・司法書士・弁護士)によるアドバイスをもらいながら、信託の目的を実現すべく、長期的に適宜見直していくことが大切です。

<執筆者紹介>

個人資産部門 宮崎 照久

所得税・相続税の申告や相続対策、事業承継などの個人資産税業務のほか、中小企業を中心に決算業務、申告書の作成、税務相談業務等に従事しています。

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