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日本公認会計士協会が2026年7月15日付で公表した「上場会社等における会計不正の動向(2026年版)」(以下「資料」といいます。)には、2022年3月期から2026年3月期までの5年間に公表された会計不正の状況がまとめられています。この資料は上場会社等を対象としたものですが、会計不正が発生した背景を見ると、経理業務の集中、業績達成への過度なプレッシャー、上司による確認不足など、中小企業でも注意すべき共通点が見えてきます。 今回は、直近の会計不正の動向をふまえ、中小企業が確認したいポイントをご紹介します。

1.会計不正の類型

会計不正は、主に粉飾決算と資産の流用に分類されます。前者は会社の業績を良く見せることを目的として、後者は会社のお金や物を個人で使うことを目的として行われます。2026年3月期に公表された会計不正のうち、粉飾決算の割合が74%と高いものの、資産の流用も26%と継続して発生しています【図表1】。
中小企業で特に注意したいのは、経理担当者がほぼ一人で、銀行印の管理、振込手続、帳簿への入力、預金残高の確認まで行っている場合です。資料においても、一人の担当者に経理業務が集中し、上司による確認が十分に行われなかった結果、長期間にわたり多額の現金が着服された事例が紹介されています。

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2.粉飾決算の手口

上記のうち、粉飾決算の主な手口としては、売上の過大計上、費用の繰延べ、在庫の過大計上、架空仕入・原価操作などが挙げられます。2026年3月期に公表された上場会社等の粉飾決算の手口の割合は【図表2】の通りです。不適切な処理は、最初から大きな金額で始まるとは限りません。例えば、「入金は来月だが、今月の売上として処理する」、「在庫の評価損を翌期に先送りする」といった処理が繰り返されることで、決算数値への影響が大きくなることがあります。特に、売上計上の時期、在庫の評価、費用や損失を計上する時期など、経営者や管理者の判断が介在する項目は、中小企業においても慎重な確認が必要です。

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3.経営・ガバナンス上の重要ポイント

資料では、会計不正が発生する背景として、業績達成への過度なプレッシャー、経営者による内部統制の無効化、管理職や役員を含む内部共謀、子会社や事業拠点に対する管理不足、社内の懸念事項が経営者に伝わらない組織風土といった要因が挙げられています。これらは、上場会社だけに生じる問題ではありません。人員が限られる中小企業では、業務が特定の担当者に集中しやすいため、【図表3】のような確認を継続することが重要です。人員上の制約から、完全に業務を分けることが難しい会社もあります。その場合でも、経営者や上司が月に一度、通帳と会計帳簿を照合する、売掛金や在庫の一覧を確認するなど、担当者以外の者が確認をすることで、一定の牽制効果が期待されます。

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執筆者紹介

FAS部門 公認会計士 佐藤 哲也
個人事務所、監査法人を経て税理士法人髙野総合会計事務所へ入所。現在はFAS部門に所属し、主に監査業務に従事しています。

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